2016年2月1日月曜日

J.S.バッハ:ゴルトベルク変奏曲

ずみさん:

グールド 81年(Sony)

古臭い、カビの生えた、というようなバッハのイメージを塗り替えたのが、グレン・グールドだ。グールドのゴルトベルクは、その「就寝のための音楽」という構想をまったく無視しきって、表現力豊かに、音楽として色鮮やかに塗り替えてしまう。グレン・グールドの鮮烈デビューとなった録音は、下で紹介する55年のもの(実は二番目の録音ではあるが)だ。55年の演奏が、驚きに満ち溢れたものであるとするならば、この81年録音は、技術に裏打ちされ、円熟味をともなった表現力が、より音楽としてのバッハを際立たせる。ちなみに聞こえる声は仕様。慣れると、ここに注目すべきなのか、という指標にもなって面白い。第1変奏の驚きは、何者にも代え難い。第26変奏以降は圧巻だし、最後のアリアは、涙なしには聴けない(※個人の感想です)。高校生の僕が、好きだった人に紹介された盤という意味でも思い出深い。

武久 94年(ALM)

愛聴盤。この人のCDを集めたい、と思いながら、それができていないんだよね。一番心揺れる、ゴルトベルク。アリアから第一変奏に入った時に、ぞわ、ってなる。拍頭が先行するのではなく、遅らせるというスタイルは、てもさんのそれに似ているとも思うんだけれど、彼はこの曲をそもそも聞かないらしいから、本当に残念。究極のやさしさをもった演奏だと思う。最後のアリアまで、心が動かされつづける。そして、だばあ、となる(※個人の感想です)。武久先生は、この2月にもゴルトベルクの録音を出すらしく、それも楽しみ。

グールド 55年(Sony)

81年を聴いたら、こいつも聴いてみてほしい。というか、81年より前にこちらを聞いて、81年の表現に酔いしれてほしい。同一人物の演奏とは思えまい。しかしバッハの理解としてはこちらも面白い。高速に進行していく曲は本当に子守唄(?)のそれではない。こちらの盤ではじめに興奮できるのは、第5変奏だと思うけれど、それに続く第6変奏だってエキサイティングだ。だってこの展開の仕方すごい。とくにてもさんのようなピアノ屋さんには聴いてほしいなぁ(笑)。第10変奏とかもわくわくするよね。なんか身体がうごいちゃう。もともと舞曲であるはずなので、この感覚は正しいかもしれない。ヴィルトゥオーゾが活躍する、眠くないバロック観という新時代の嚆矢の一つは、確実にこの人が放ったろう。

レオンハルト 76年(DHM)

グールドに先行すること2年、グスタフ・レオンハルトは最初のゴルトベルク録音をしている。そのあとが、65年、最後が76年。みんなすごく違う演奏で、これも遡りがたのしい。76年の録音は、とくに創意に満ちていると思う。第12変奏が好き。あと27変奏は、これが一番好きだなぁ。刻んでいくような第30変奏も好き。抑揚があるが、落ち着いた録音が好きなのかもしれない。65年は、76年に近い。53年は、曲想のとおりちゃんと眠くなるのだが、それでいいのだろうか、、、とも思わないではない(笑)。あと、53年はそもそもイヤホンで聞くのに向かないんだよね、チェンバロの音がキンキンで。スピーカか、ローパスフィルタがほしいw この人もよく聴いてると、意外と声が入っちゃう人。声が入る人、結構好きなんだよねぇ←

ところで、ピアノ屋さんであるてもさんがヴァイオリン曲を先に書いて、ヴァイオリン屋の僕がピアノ曲を書くというの、なんか(笑)

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