2016年2月10日水曜日

H.ヴィエニャフスキ:モスクワの思い出



エルマン(37年、オーパス蔵)

モスクワの思い出の代表盤(と勝手に思っている)である。この頃のエルマンはほんとにうまい(後年になると弾き間違えているのか譜読みしているのかわからないような演奏になってしまうが笑)。音質も電気録音にバリバリ入っている37年なので割と聞きやすくて良い(オーパス蔵の復刻お見事!)。カデンツァなどはばっさりカットしているが(当時の録音環境だと仕方ないだろう)、個人的にはこの曲はカデンツァなしでいきなり赤いサラファンのメロディーに入ったほうが好き。エルマンの人懐っこい美音が楽しめるし、ルバートやポルタメントもばっちり決まっていてうまい。伴奏のピアノもぴったりエルマンにつけていてお上手〜。

メニューイン(36年、EMI)

若い頃のメニューインの録音。エルマンもびっくりするほど、ロマンチックな表現に溢れている。これは録音年代の制約にも関わらずカデンツァまですべて収録されているのがすごい。それにしてもメニューインの音色がやっぱりいい。こんな音色だすヴァイオリニスト現代にいる??エルマンとメニューインがモスクワの思い出の2大名盤だと思う。

グレゴロヴィッチ(1909年、Testament)

ここからはだいぶ年代が古くなります。アコースティック録音時代に録られたもので音質は貧しいですが、このグレゴロヴィッチの演奏もなかなか粋です。

キロガ(1912年、グリーンドア)

イザイの無伴奏ヴァイオリンソナタの被献呈者でもあるキロガ。もっと評価されてもいいヴァイオリニストですよ。このモスクワの思い出はエルマンとかに比べればあまりぱっとしない向きもあるけど、このCDに併録されているサラサーテやバッジーニ、シューマンのロマンス、レハールのフラスキータセレナーデなどほんと超絶の名演。これの曲については追って紹介したいです。

エルマン(1910年、ビダルフ)

エルマンの旧盤。こちらのほうが評価がいいっぽいので、あちこちの中古屋やヤフオクを数年間探し回ってやっと入手したCD。ビダルフってもうほとんどが廃盤なんですよ、だから入手はかなり難しいんです。でも、やっぱぼくは37年の新盤のほうが好きです。

CD-R盤のため画像なし
ヴェチェイ(1911年、CD-R盤)

ヴェチェイって、あの悲しみのワルツでもお馴染み(?)のあのヴェチェイです。ヤフオクで物色してたらSPからの板起しでCD-Rに入れた手作りCDが販売されていたのでそれを入手。とーっても、強烈なルバートでびっくりします。もう、とーーーっても長く伸ばすところとかあって痛快。

ヤン・クーベリック(1926年、ヤン・クーベリック協会)

ヤン・クーベリックはあの有名な指揮者ラファエル・クーベリックの父親で、彼の若い頃は(1900年頃)は非常にうまくてお気に入りになってたので(ヴィエニャフスキーの田舎まわりのヴァイオリン弾きなど(Testament))、たまたまamazonを眺めてたときに見つけたこのクーベリック協会盤を購入してみた。しかし、このモスクワの思い出は録られたのが1926年で、さすがにおぼつかない足取りでお世辞にもうまいとはいいがたいものだった。いろいろやろうとしているのは分かるけどどれもハマっていない。技巧も衰えたのなら、冒頭のカデンツァはエルマンのようにカットでもよかったんじゃないかと思う。

フランチェスカッティ(40年代, BnF)

フランチェスカッティは、こういうドヤ顔で弾く曲が最も似合う奏者のひとりだと思う。ハーモニクスとパッセージの早い切り替わりのところが技倆が見られて素敵。一つしか紹介できないけど、こういう曲に関しては、てもさんの評価は信用できるよ。←

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