2016年2月10日水曜日

W.A.モーツァルト:交響曲40番



◎ワルター指揮ウィーンpo(52年、Sony)

ワルターのウィーンフィルとのライブ盤。ワルターはぼくの大好きな指揮者の一人だけど、ハマるきっかけとなったのがこちらの演奏。初めて聞いたときは冒頭からヴァイオリンの一斉ポルタメントにただただ圧倒されて、この曲にこんな解釈が可能だったのかとたちまちワルターの虜になってしまった。ウィーンフィルの官能的な弦の音色も際立っていて、ここに全員一斉のポルタメントが入るのだから、たまんない!まだまだ40番で買ってないCDは山のようにたくさんあるし、未来のことなんて誰もわからないけど、こんな名演奏は過去にも未来にももう二度と現れないと断言できる。古楽勢なんてひと吹きで吹っ飛ぶよ、この演奏聴いたら。ヴァイオリンの音色が好きな人は必聴の演奏で、もうひたすら色っぽいモーツァルトである笑。

◯カラヤン指揮ベルリンpo(70年、EMI)

こちらもまたコテコテの名盤。ヤンカラ先生のお出ましでございます。これは大穴盤にしてもよかったくらいかも。現代のモーツァルト解釈の流行とはまったく逆をゆく、古いけど逆に新しく感じられる演奏。作曲家の意図とか、当時の演奏様式とか完全無視、そんなことは知ったこっちゃない、これはおれの音楽。といった感じで、自信満々なカラヤンの姿が目に浮かぶ。こういう演奏好き。フレーズはすべてレガートでなめらかで、響きは分厚くゴージャス。弦楽器のこの流麗さといったらないし、それこそ氷上の重戦車である(またこの言葉!)。カラヤンはこの曲を何度も録音しているが、厚化粧ぶりでもっとも際立つのがこの70年盤。

◯クレンペラー指揮フィルハーモニアo(62年、EMI)

クレンペラーのモーツァルトは奥が深い。この人は決して耳障りの良い音楽を作る指揮者ではないし、この曲の演奏も一聴したところぶっきらぼうに響くけれど、そこには深い悲しみと情感がこもっている。涙が枯れて泣けないとでも形容したくなるような、見た目以上によくよく聞くと深みのある演奏でこれも捨て難い。それがより顕著に表れているのがこの盤の旧盤(56年)なんだけど、この62年の新盤はその要素にプラスしてちょっとだけ優美さを加えたような演奏。彼にしては珍しく弦楽器の響きが美しく少しだけポルタメントもかかっていて面白い。国内盤と輸入盤で56年盤と62年盤が同一表記でも混在しているっぽいので注意(演奏時間で見ると両者を判別できる)。ワルター、カラヤンと比較的表面的な演奏を挙げてしまったのでちょっと趣向を変えてクレンペラーを挙げてみた次第です笑。


CD NAME ZUMI

TEXTZUMI

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