2016年1月28日木曜日

P.チャイコフスキー:交響曲第4番

てもさん:

◎カラヤン指揮ベルリンpo、71年(EMI)

チャイコの4番と言えばコレ!ムラヴィンスキーなんてはっきり言って目じゃないです笑。ま、いわゆる爆演てやつですね。この演奏は本当にすごいです。この時期のBPOの金管はシャープで切れ味抜群、かつ豊かな音色で透明感があります。これでこの曲冒頭の金管協奏曲を吹かれたらたまりません。終楽章はひたすら圧倒的な音の洪水が押し寄せてきますし、ティンパニーが荒れ狂っています笑 ついでに一番最後のFの音ではシンバルの追加がされていて迫力満点です。いろいろ小細工してスビトピアノを加えてみたりクレッシェンドを効かせてみたり・・・といった小細工をする指揮者が多いですが(とくにこの曲では!!)、カラヤンはひたすらffです。この安定さがたまりません(賛否両論なのは百も承知しておりますが苦笑)。かと思うと、弦楽器を聞かせるところは思う存分歌わせますし、この人の演出には本当に脱帽します。録音はEMIの劣悪録音ということで有名ですが、1〜3楽章はさほど気になりません。4楽章の大太鼓が入るところではかなり音割れしちゃいますので、これはすごく残念ですがね。氷の上を走る重戦車とはよく言ったものだと思わせられる一枚。

◯マゼール指揮ウィーンpo、64年(Dec)

こちらはもっとも硬派な部類の演奏をご紹介。若き日のマゼール=VPOです。この時期のVPOの響き、なかなか好きです(ゾフィエンザールの音響の所為もあるのだろうか)。この時期のVPOって名盤が多いですよね。ケルテスの新世界然り、カラヤンのドボ8、ホルストの惑星然り、あと同じくマゼールのシベリウスとか。そのマゼールが振ったチャイコなのできかなくては!と5〜6年前から思っていたのですが、なかなか買うチャンスに恵まれず、ついこの前amazonで見かけ衝動買いしました笑。後年のマゼールは嫌いだけど、この時期のはとっても面白い。なんで面白いのかはわからないけど、ピアニストで言えばグルダみたいな笑(全然たとえわかんないですよねー)。挑戦的で硬派な演奏、なのに綺麗でよくまとまってて安定してる。そんな感じです。テンポは先のカラヤン盤に比べて少し遅めで、若干ダレるところもありますが(終楽章コーダのシンバル、下手!!死刑レベル笑)、終始ザクザクとした荒削りの弦楽器の音で耳に心地よい一枚です。しかしグルダとマゼール、個人的にはなんか似てるなーという印象。そういえば、R=シュトラウスの町人貴族でこの夢のコンビが共演してるのを思いだしました。が、なかなかそこまで手が回らない・・・いつか聞きたい。

▲クレンペラー指揮フィルハーモニアo、63年(EMI)

大穴盤にはふさわしい珍盤。木管のあたたかい響きと低弦の重厚な響きがブレンドした妙な響きが終始続く。クレンペラーファンならよくご存知だとは思うが、この彼一流の響きにチャイコフスキーが意外にマッチするから面白い。シューマンの4番、幻想交響曲、R=シュトラウスのティル、マーラーの4番や夜の歌などちょっとファンタジックな曲(ティルはちょっと違うケド)にもこのサウンドはよく合うのだから、ロマンチックな曲想のチャイヨンにはマッチして当然と言えば当然なのだが。テンポは例によってめちゃめちゃ遅いが、ダレることはない(←ここら辺がすごいなーと思うところ)。重厚さとファンタジーが共存する類稀な名演で、ロシア的な要素は皆無(笑)。無国籍の完全にクレンペラーの音楽になっている。

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