2016年5月4日水曜日

E. グリーグ: ピアノ協奏曲


てもさん:

◯ツィマーマン(Pf)、カラヤン指揮BPO、81-82年、DG

これは以前よく聞いていた演奏。ツィマーマンのクリスタルな響きのピアノが素敵で切れ味も抜群。超ピアニスティックな名人芸が楽しめる。カラヤンの重厚でゴージャスなバックも(グリーグに相応しいかどうかは度外視するとして笑)ツィマーマンと互角の冷静かつ煌びやかな演奏である。グリーグ色はかなり薄められていて、このピアノ協奏曲のもつソリスティックな華麗な面にスポットライトを当てた演奏なので、きっとずみさんの好みとは対照的なのだろう笑

◯アンダ(Pf)、クーベリック指揮BPO、63-64年、DG

隠れた名盤だと思う。シューマンとグリーグの協奏曲のカップリングだがどちらも絶品で、アンダのなめらかで角が取れた温かみのあるピアノと、クーベリック指揮するまだフルトヴェングラー時代の名残が残る重心の低いベルリンフィルの奥ゆかしいサウンドがマッチして、深みのある演奏になっている。暗めの色合いでシックな印象の中に黒光りする光沢があるような気品と情熱を兼ね備えた好演。シューマンの方も名演で、こちらもシューマンの項でまた紹介したいと思っている。

ずみさん:

リパッティ(Pf), ガリエラ指揮, フィルハーモニア (Urania, 2008)

1947年の9/18, 29に録音されたものだろう。珍しく古い録音を推しているけれど、自分で探し当てたわけではなくて、この前、てもさんと、昔お世話になった指揮者と3人で飲んでいた時にグリーグの話が出て、その指揮者にこれをおすすめされたのだった。
たしかに、これはよいものだ。グリーグのピアコンといえば、力が空回りするような演奏が結構多いと思うのだが、これはそれを回避しているどころか、効果的にコントラストをのせている。

グリーグの楽曲をそんなに知らないので、偉そうなことは言えないが、グリーグを演奏する際に重要になるのは、テンポのコントロールだと思う。グールド然り、このリパッティ然り。
とても良く制御されていて、それがこの曲の情緒的な面を際立たせているのである。
この曲は1楽章の最初が有名すぎて、そこだけしかわからないという人も多いのではないかと思うけれど、ぜひこの機会に、全曲をきいてほしい。2楽章終盤なんて、すこしの涙なしには聴けない。繰り返して言うけれど、グリーグは、緩やかなところがいいのだ。注目して聴いてほしい。
ピアノのことばかり言ったけれど、弦楽もそれに乗せられたか、かなりいい。3楽章終結部につながる流れとか、終結そのもの、とか特に。細かいことはいろいろ言えるけれど、それはいいっこなしだ。

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