2016年5月7日土曜日

J.ブラームス:交響曲第4番


てもさん:

◎フルトヴェングラー指揮ベルリンpo 48年(EMI)

まずはやっぱりこれですかね。フルベン大先生です。また古いのをと言われそうだけど、よいものはやっぱりよいです。まず冒頭のロ音の入り。これがうまくないとそのあと聞く気が失せます笑。この部分は神業といか言いようがない出来栄えで、霧の中からわっと現れる第一主題は1度聞いたら虜になります。これが一番うまくいってるのが、当盤1948年10月24日の演奏で、フルベンの五種頼あるぶらよんの中でもピカイチの出来。そこから緩急自在にうねるブラームスが始まり、弦楽器のポルタメントも時折入りながら、ひたすらロマンチックに進んでゆく。1楽章のコーダは数ある交響曲の中でも最高峰に位置するコーダだと勝手に考えているが、こういうところはまさにフルヴェン先生の独壇場である。例によってぐんぐん加速していくが、この加速が全然わざとらしくなく、ばっちり決まっている。だいたいいろいろ表現に工夫を重ねるタイプの現代の演奏家ってこういうのをやると、いかにも!って演奏になるけど、フルベンのすごいとこは、そこなんじゃないかとひそかに思ってる。最後のティンパニも納得のリタルダンドで締めくくられる。4楽章もなかなか決まってる演奏で、テンポ設定が非常にうまいなあとつくづく思う。てなところで、次。

◯クレンペラー指揮バイエルン放送so 57年(墺Orfeo)

このクレンペラー、ライヴだけにかなり燃えてる。スタジオ盤の同曲の録音では彼のザッハリッヒな側面が目立ってあまり好きになれなかったけど、こっちのライヴ盤の出来は上々。冒頭から前へ前へフレーズが覆いかぶさるように切れ目なく紡ぎ出され、細やかなニュアンスも表現されていて、一聴したところで他の盤とは違う!って直感した。とにかくめらめら燃えるような感情の入った演奏で、灼熱の演奏と言うと安っぽく聞こえるが、内に燃えるものを秘めてる演奏というか・・うーんそんな感じ。1楽章コーダも納得の出来。クレンペラーにしては珍しく大幅なテンポの揺れが見受けられて、ライブだとこんなに指揮も変わるんだなと思った。録音は古いけど若干擬似ステレオになっているので聞きやすいですよー。

▲カラヤン指揮フィルハーモニアo 55年(EMI)

全編にわたり細身の響きにも関わらず恐ろしいくらいなめらかな弦楽器が特徴。どう見てもこれは正統派のブラームスではないが、こういう異端児系の演奏は好きである。70年代に全盛を迎えるBPOのカラヤンサウンドがやはりカラヤンの行き着く美学の頂点なのだろうが、意外にもこのゴージャスサウンドはブラ4にはあまり似合わない(当たり前か笑)。78年の録音はキラキラ華麗な演奏だがさすがのカラヤンファンである私でもこれはちょっと違うかなと思ったりする笑。そんな中でしっくりくるのはこの55年のPOとの録音と63年のBPOの録音。後者は重厚で暗めの色を基調とした音作りでこちらの方が一般ウケすると思われるが、やはりカラヤンの面白みという点ではPOとの演奏が面白く感じられるし、クライマックスでも決して(音量的には)盛り上がらないひらすら美のみを追求した氷細工のようなカラヤンの音作りとこの曲が持つブラームス色が共存しているという点ではかなり上位に食い込む演奏ではないだろうか。

ずみさん:


CD NAME ZUMI

TEXTZUMI

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